静岡県三島市平田にあるいのうえ内科・リウマチ科です。関節炎疾患・膠原病疾患等でお悩みの方はぜひご相談下さい。

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リウマチの完全完解の闇

リウマチの完全完解の闇

現在のリウマチの治療は2000年以前と異なりリウマトレックスの処方パターンの安定、生物学的製剤、分子製剤の出現で、コントロールの良い患者さんが増えてきました。

そこに来て、生物学的製剤を売る製薬会社が、学会内の医局何か所かに働きかけ、『早期発見早期治療』を行うと、関節リウマチは『完解』する、という夢のような目標を作り、スタディを沢山作りました。

国内のK大を始め、何か所かの施設で研究がされましたが、結論から話をすると、自然完解率は3割でした。

この3割という数字は、元々あった数値でした。何も『早期発見・早期治療』などしなくても、お高い生物学的製剤を併用しなくて、得られるデータでした。

更に、多くの論文の『完解』のニュアンスがおかしいのです。

普通、完解というと、がんの治療の完解を想像します。そうです、この言葉は元々がん診療で使われていた言葉だからです。それを2010年以降関節リウマチにも用いで、多くのスタディが組まれ、発表されました。その結果リウマチの『完解』の意味は大きく湾曲し、『内服薬を投薬された状態で関節炎の症状がなく、レントゲン上関節破壊の進行の無い状態』を『完解』と表現するようになりました。

本来の意味の完解を、『ドラックフリー完解』というようになりました。

たった2年間の生物学的製剤のスタディで、内服薬を内服し、生物学的製剤を中止出来た人が3割なのです。

ここで、何を言いたいのか、というと、『完解をめざして』高額な医療費を使い、『完解』になったので、通院しなくてよい、と発言する専門医を名乗るリウマチ学に関して素人医師の言葉を絶対に信用しないで欲しい、という事です。

関節リウマチの研究はまだ解明されていない事が多く、『完解』という概念の研究もまだ20年程度で、結論すら出ていないからです。

私は開業をし8年近く経ちます。私の投薬が奏し、疾患活動性が停止している患者さんは沢山います。私は疾患活動性が停止していることが当然だと思っております。それを『完解』とは考えません。本来のがんでいう『完解』とは全くニュアンスが異なるからです。薬を使って活動性を止めることが治療の最大の目的なのに、薬を外せば7割の方が再燃し、その7割が治療を中止した時より治療が増えているという有名なデータがACRのガイドラインにも登場します。

当院にも、生物学的製剤を併用し、詐欺達のいう『完解』(薬を投薬した状態で疾患活動性が止まっている方)を得て、生物学的製剤を中止し経過観察をしている人は沢山おります。8年間見ておりますが、結局ほぼ全員『再活性化』し生物学的製剤を再開しました。

当院で治療をし、治ったと勘違いする患者さんが、男性を中心に沢山います。当院を飛びだし、再燃し、他院に通院し、どうにもならなくて戻って来た方達は、全員がレントゲンで新規骨びらんを確認しています。関節破壊のため可動域制限がでている関節が有ります。

昔から関節リウマチの活動性は人それぞれであり、まったく治療しなくても指1本だけ変形して活動性が終了する人もいます。一方全身関節炎が何十年経過しても活動性が落ち着かない人もいます。活動性そのものが人それぞれなのに、せっかく投薬で活動性を停止させているのに、投薬を止めて本当に一生ドラックフリーを得る事が全員に出来るのでしょうか。

どうか『完解』という言葉に惑わされず、ちゃんと通院し、活動性が停止している状態で、薬の副作用がクリアされた状態を維持してください。

院長より

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